スーツを長持ちさせるお手入れ方法とは?きれいに保つための便利グッズも紹介
お手入れ
2022.8.29
目次
新社会人を含めビジネスパーソンにとって、毎日着用するスーツは仕事をする上でとても大切なものです。きちんとした身だしなみはクライアントからの評価にもつながるため、いつでもきれいな状態を保つことが理想ですが、中には毎日のお手入れに悩んでいる方もいるかもしれません。
そこで今回は、毎日やるべきスーツをお手入れ方法についてご紹介します。「クリーニングに出さなくても良いお手入れ方法を知りたい」「スーツが汚れたときの対処方法を知りたい」という方は、ぜひご覧ください。
スーツを長持ちさせるには日々のお手入れが重要
仕事から帰るとスーツを脱ぎ、ハンガーに掛けっぱなしにしているという方は多いでしょう。「デスクワークだから汗をかいていないし、汚れてないだろう」と思われる方もいるでしょうが、オフィスワークや営業などの外回りであっても、1日着用したスーツは汗やホコリ、動きによる摩擦などによりダメージを受けています。そのままにしておくとスーツの生地が傷んだり、雑菌などの影響から臭くなったりすることもあるため、スーツを長くきれいに着用するためにも正しい日々のお手入れを心掛けましょう。
ここで注意すべきなのが、「お手入れ=クリーニング」ではないということです。確かにクリーニングでスーツをきれいにできますが、頻繁に行うと生地に負担がかかり、型崩れなどの原因にもなります。そのため、着用するシーズン中に1回、さらに衣替えのタイミングで1回ほど行えば充分でしょう。
なお、クリーニング店から受け取ったらビニールを外し、通気性を確保してからクローゼットなどにしまいましょう。
スーツを自宅の洗濯機で洗うのはNG?
「スーツを自宅の洗濯機で洗いたい」と思われる方もいるかもしれません。スーツを自宅で洗えたら、いつでも清潔さを保てますし、クリーニング代の節約にもなるため魅力的ですよね。しかし、基本的には自宅の洗濯機でスーツを洗うのは避けましょう。
自宅の洗濯機でスーツを洗うと縮んだり、シワになったり、型崩れしたり、色落ちや風合いが変化したりする恐れがあります。とくにビジネススーツの場合、ネイビーやグレー、ブラック、ブラウンなど濃い色のものが多く、色褪せたり、光沢がなくなったりするケースもあるでしょう。
どうしても自宅の洗濯機でスーツを洗いたい場合は、これらのトラブルを少しでも防ぐためにスーツの素材や洗濯表示をきちんと確認することが大切です。
ウールなどの天然素材は水洗いで縮むことがありますが、ポリエステルなどの素材なら洗濯機で洗えるものも多くあります。洗濯表示に水洗いOKのマークや手洗いマークがあるなら自宅での洗濯が可能なので、お手持ちのスーツを確認してみましょう。水洗いNGの場合はクリーニングに出してくださいね。
なお、洗濯ダメージを少しでも軽減するため、洗濯コースを「手洗いコース」や「ドライコース」に変更し、先に水を溜めて洗剤を溶かしてから、ネットに入れたスーツを投入しましょう。あとはすばやく日陰に干し、完全に乾く前にアイロンをかければ、シワなくきれいに仕上がります。
スーツ着用後にできる簡単なお手入れ方法
スーツを着用したら、下記のお手入れを行いましょう。
着用後すぐにハンガーに掛ける
自宅に到着したら、すぐにスーツをハンガーに掛けましょう。ハンガーに掛けると型崩れしにくくなり、多少のシワならスーツの重みで伸びるため目立たなくなります。
ここで注意したいのがハンガーの選定です。スーツを掛けるハンガーは、幅のある太いものを選ぶようにしましょう。スーツは立体的に作られているため、細いハンガーだと肩のラインが崩れてしまいます。変に形がつくと着用したときのシルエットが崩れてしまうため、太いハンガーに掛けるようにしましょう。
また、スラックスはパンツ用のハンガーに“逆さまにして”吊るします。スラックスの裾をはさんでウエスト部分を下にすることで、シワが伸びて目立たなくなります。
なお、ハンガーに掛ける際はポケットの中身を全て出してください。入れたままだとシワや型崩れの原因になるため注意しましょう。
ブラッシングする
洋服用のブラシでブラッシングすると、生地に付着した皮脂やホコリ、花粉などの汚れを落とせますし、繊維の奥までお手入れができるため、虫食いの原因になる害虫も除去できます。また、繊維の流れが整うのでふわっと繊維が立ち上がり、美しくて品のある光沢が出たり、毛玉ができにくくなったりします。
ブラッシングを行う際は、ジャケットは上から下に、スラックスはハンガーに吊るしたまま裾からウエストに向けて行いましょう。襟の裏側やポケットの内側、袖ボタンやスラックスの裾など、見えない場所、目立たない場所もきちんと行うことがスーツを長持ちさせるポイントです。
霧吹きでシワを伸ばす
ウール素材は“水分を含むと復元する”という特徴があるため、ウール素材のスーツであれば、ちょっとしたシワは霧吹きで濡らして対処できます。着用後にハンガーに掛け、シワの部分を中心に霧吹きを行いましょう。
手元に霧吹きがないという場合は、浴室に吊るしておくと同様の効果が得られます。お風呂に入った後、湿度が高い状態の浴室に2、3時間〜8時間ほど吊るしておきましょう。その後、風通しの良いところで陰干ししてください。
なお、これらのお手入れは頑固なシワには効果が不充分なので、その際はアイロンを使ってシワを伸ばしましょう。
スーツを休ませる
お気に入りのスーツだからといって、毎日着用していませんか? 1日着用したスーツはダメージを受けているため、1日着用したら最低でも1日、可能なら2、3日はスーツを休ませましょう。これにより、生地に染み込んだ汗を飛ばし、シワによる型崩れを予防できるため、スーツが長持ちします。
スーツを1、2着しか持っていないという方もいるかもしれませんが、毎日着用する場合はできるだけ余裕を持ってローテーションできるのが理想です。3着は持っておくと安心でしょう。
緊急時のお手入れ方法
不測の事態でスーツが汚れてしまったときは、下記のお手入れ方法を試してみてください。
スーツが濡れたとき
スーツが濡れてしまったときは、ハンガーに掛け、タオルで水分を拭き取りましょう。濡れた状態でクローゼットに入れるとカビが生える原因になるため、風通しの良いところで陰干ししてください。
スーツで汗をかいたとき
スーツが汗で湿ってしまったときは、スーツを裏返しにして、背中や脇の下、膝の裏など汗をかきやすい部分を固く絞った濡れタオルで拭き取りましょう。裏返したままハンガーに掛けたら、風通しの良いところで1、2日ほど陰干しします。乾いたらスチームアイロンをかけて完了です。
泥はねを受けたとき
泥はねを受けたときは、泥が完全に乾くまでそのままにします。泥が乾いて固まったら、歯ブラシなどで丁寧に落としましょう。どうしても汚れが落ちない場合は、水をつけた綿棒を用意し、叩くようにして落とします
醤油やコーヒーなどの水性の汚れがついたとき
醤油やコーヒーなどの水性の汚れは、固く絞った布で叩きながら落とします。汚れを吸い取るために、しみの下に布やティッシュを置いてください。また、生地を傷めないように、叩く際は力を入れすぎないように注意しましょう。
なお、それでも汚れが落ちないときは、歯ブラシに中性洗剤をつけてしみを叩いてください。
口紅やボールペンなどの油性の汚れがついたとき
口紅やボールペンなどの油性の汚れは、汚れが付着した直後ならつまむようにして落とします。時間が経過したものに関しては、しみの下に布やタオルを置き、洗剤をつけた歯ブラシやタオルなどで叩きながら落としましょう。その後、洗剤を洗い流せばお手入れは完了です。
鳥の糞がついてしまったとき
スーツに鳥の排泄物がついたときは、乾いたティッシュでつまむようにして固形物を除去し、次に濡れたティッシュや布で汚れを落とします。鳥の排泄物は繊維に入り込むことがあるため、つまみ取るときには注意が必要です。排泄物を除去したら、乾いたティッシュで水分を吸い取り、自然乾燥させましょう。これで、ひとまずの対処は完了です。
自宅へ帰ったら、できるだけ早く洗濯しましょう。ただし、鳥の排泄物は落ちにくいため洗濯しても落ちない場合があります。その際はクリーニングに入れることも検討してください。
スーツのお手入れ時に便利なグッズ
こちらでは、スーツのお手入れに役立つ4つの便利グッズをご紹介します。
洋服ブラシ
洋服ブラシは、生地に付着した汚れを落とすのに役立ちます。また、ブラッシングによって繊維の流れを整えられるため、生地のテカリを防止する効果も期待できます。
ブラッシングはスーツ着用後に毎回行うのがベストですが、時間がないという方は3回に1回のペースでも良いのでブラッシングを行いましょう。
それでも難しいという場合は、1週間に1回はブラッシングをしてください。お手入れを全くしないよりはテカリ防止などの効果が実感できます。
ブラッシングをする際は、ブラシの毛を生地に対して垂直にあてましょう。下から上にブラシを動かしながらホコリを浮かせたら、次は上から下へホコリを落とすようにブラシをかけていきます。
ブラッシングの順序としては、まずは袖や前身頃から行い、次にラペルの表裏、腰ポケット、最後に背中全体にかけます。ラペルの裏はホコリが溜まりやすいため、襟を立てて丁寧にブラッシングを行いましょう。また、ポケットはフラップの裏も丁寧にブラッシングを行います。ポケットによくものを入れるという方はポケットの裏地を出し、底の縫い目にもブラッシングを行いましょう。
なお、洋服ブラシは毛が長く、ほどほどに弾力のある「天然毛」がおすすめです。カシミアや目の細かいウールが使われたスーツには「馬毛」、化学繊維との混紡素材やツイード素材のような粗目の生地を使ったスーツには「豚毛」というように、スーツ生地によって使い分けてみてくださいね。
スーツ・ジャケット用ハンガー
先でも述べましたが、スーツは立体的に作られているため、細いハンガーだと型崩れを起こしてしまいます。肩部分のシルエットが崩れないように、スーツ・ジャケット用のハンガーを使いましょう。ハンガーの材質は、静電気防止や除湿、防臭の効果がある「木製」がおすすめです。
衣類スチーマー
多少のシワなら霧吹きで水をかけて、2、3日ほどハンガーに吊るしておけば対処できますが、頑固なシワができたときや、2、3日も吊るすほど時間に余裕がないときは、衣類スチーマーを使いましょう。気になる部分に蒸気をあてると、短時間でシワを伸ばすことができます。出掛ける前にさっと使える利便性の良さも魅力なので、スーツのシワにお悩みの方はぜひ活用してみてください。
ズボンプレッサー
スラックスのラインを復活させるために、アイロンをかけたり、クリーニングに出したりしているという方は多いでしょう。ズボンプレッサーを使えば、15分〜30分ほどのプレスでスラックスのラインを美しくキープできます。プレスしている間は放置で良いので、疲れて帰宅した日でも簡単にお手入れが可能です。アイロンをかける必要がなく、またスーツをクリーニングに出す頻度も少なくなるため、スーツの準備がスムーズになり、クリーニング代の節約にもつながります。
しかし、ズボンプレッサーの使い方を誤るとスラックスの折り目がズレたり、生地にテカリが出てしまったりすることがあることにも留意すべきです。とくに、細身のスラックスやタック(※1)入りのパンツはきれいに仕上がりづらいですし、オーダースーツでも人気のツヤとなめらかさのある生地は熱でテカリが出やすいです。ズボンプレッサーを使用する際は、扱いに充分注意しましょう。
※1:パンツやスカートのウエスト部分につけられる、広がりの少ないプリーツ(ひだ)のこと。
まとめ
せっかくのスーツも、ソファや椅子に無造作に置いていると傷みがひどくなります。ハンガーに掛ける、ブラッシングする、霧吹きで水をかけるなど、ちょっとしたお手入れでスーツは長持ちするので、ぜひ試してみてください。
また、スーツは休ませることも大切です。毎日着用する方は、最低でも2、3着はローテーションできるようにしておくことをおすすめします。自分の体のサイズに合うスーツを着用すれば、よりスーツを長持ちさせることができるため、もう1着増やそうと検討している方はオーダーメイドも視野に入れてみてはいかがでしょうか。 1935年創業の老舗ブランド「HANABISHI (花菱)」のオーダースーツは、完全国内縫製のイージーオーダーです。さまざまな体型の方に合わせた補正が可能で、熟練したプロフェッショナルフィッターが採寸し、あなたのご要望に合うフィットした1着をご提供いたします。初めてオーダースーツを作る方限定のお得なプランも実施しています。ぜひ、以下のリンクからチェックしてみてください。