秋冬おすすめの素材にトレンドをミックスして、ワンランク上のスタイリングを!

スーツの着こなし

2018.10.17

秋冬スーツ生地

秋冬おすすめの素材にトレンドをミックスして、ワンランク上のスタイリングを!

季節は秋。これから徐々に寒さを増し、冬へと向かっていく季節。特にテーラードファッションは、秋から冬が面白いといわれています。
しっかりジャケットを着てネクタイを締めたり、ジャケットのインナーにニットを着こんだり、そして冬にはコートが必需品となり、コーディネートの幅が広がるからです。
そこで今回は、ビジネスやちょっとしたパーティーなどの外出におすすめのスーツの素材に、今年の秋冬トレンドを意識した仕立て方や、シャツや小物についての話です。

知っているようで知らない!春夏と秋冬のスーツ生地の違い

季節に四季あるように、スーツの素材にも春夏向きの素材と、秋冬向きの素材があります。
春夏は「平織」、秋冬は「綾織」というのが一般的です。
「平織」とは、経糸と緯糸を交互に織った素材で、左右対称の織りになるのが特徴です。丈夫で摩擦に強く通気性が良いために春夏向きの素材といえます。生地の摩擦の強さを測る検査に「乾摩擦」と「湿摩擦」というものがあり、特に汗をかくことの多い春夏は、「湿摩擦」の堅牢度が高めな平織がおすすめとなります。
一方、「綾織」とは、経糸が2本もしくは3本の緯糸の上を通過した後1本の緯糸の下を通過することを繰り返し織られたもので、糸の交差部分が斜めになるのが特徴です。しわに強くナチュラルな伸縮性があり、何より平織に比べ厚みが出るため防寒性があり秋冬向きの素材です。しかし、摩擦に弱く重量も重くなってしまうデメリットもあります。
最近は夏素材の透け防止のため綾織の夏素材も存在しますが、まずは平織か綾織かで春夏向きか秋冬向きかを判断するのが良いでしょう。

秋冬向けの生地

スーツの素材として一般的な原料はウールです。ウールの原毛からつくられる糸には、梳毛(そもう)糸と紡毛(ぼうもう)糸があります。梳毛は原毛の毛足の長いものだけを使用し、長い毛を梳いて強く縒り合わせてつくられた太さの均一な糸で、滑らかで光沢のある素材ができます。平織にすると春夏の定番トロピカルとなり、綾織にすると秋冬の定番サージとなります。紡毛は原毛を梳かずに使用するので短い毛が混じったり、梳毛を作った時に出る短い毛を集めて使用したりする場合もあります。毛羽が多く冬の定番素材に多くみられ、多くはジャケットやコートなどの素材となります。

①ツイル(綾織)

織物組織の基本のひとつ。斜めに入る畝(うね)が特徴で、秋冬のスーツの標準と言ってもいい素材。梳毛糸でつくられるサージが一般的で、秋冬のスーツ素材に一番多く用いられる。

②ミルド・ウーステッド

オールシーズンで使用される梳毛織物(ウーステッド)に縮絨をかけて毛羽を残した素材。フラノに似ていますが、フラノよりも毛羽が少なくコシが強いのが特徴。

③フランネル(フラノ)

紡毛織物に縮絨をかけ起毛させるのが特徴。見た目にも温もりを感じる冬の代表素材。

④ツイード

伸縮性のある英国原産の紡毛素材。ざっくりとした風合いが特徴で、原毛の種類や織り方で数多くの種類がある。あえて原毛の色や毛玉を残した素材も多い。

シーン別おすすめ素材と仕立て方

これから冬に向かって、クリスマスや忘年会、新年会など人の集まるところに出かける機会が増える方が多いと思います。それ以外にも、ビジネスやカジュアルなどでスーツやジャケットを着る機会が増えるシーズンでもあります。
ここからは、HANABISHIおすすめの秋冬素材と仕立てのポイントを紹介します。

1)紳士の気品を醸し出すクラシックスタイルにおすすめ! “英国素材らしい目の詰まったミルド・ウーステッド素材で英国クラシックスーツを仕立てる”

今季よりHANABISHIのインポート生地セレクトに加わった英国素材「JOHN GREENISH(ジョングリーニシュ)」を、今季のトレンドである英国調クラシックに仕立てるスタイルです。
ジョングリーニシュは、1981年にハダースフィールドに拠点を移転しますが、その前は19世紀の産業革命の羊毛産業で発展したヨークシャーのブラッドフォードで最も古い生地メーカーと呼ばれていました。現在は、英国国内だけではなく、北米・南米・カリブ諸島や中東・極東に至るまで、世界のマーケットにウールファブリックを供給するイギリスを代表する生地メーカーの一つです。
この素材を、ビジネスに仕立てるなら英国調クラシックディテールをポイントにしたスーツがおすすめです。色や柄も無地はもちろん、ヘリンボーンや幅広のバンカーズストライプなど英国調の10色をそろえていますので、英国調のクラシックディテールとは相性が抜群です。
取り入れるべきディテールは、チェンジポケット・ダブルベスト・タックパンツの3つ!

チェンジポケット付きの腰ポケットは、スラント(斜め)ポケットにすると一層クラシック感が際立ちます。ベストはダブルの6つボタン、パンツをタック入りの少しゆとりのあるテーパードパンツにすれば、トレンド感のあるクラシックディテールスーツが完成です。
今までのピッタリ目のスーツから、大人の余裕を感じさせるクラシックスーツに着替えれば、大切な商談でも自信あふれるスタイルになるでしょう。

2)パーティーや忘新年会におすすめ! “イタリアの光沢あるストレッチ素材で、エレガントなノンストレススーツを仕立てる”

HANABISHIで毎シーズン人気の高いイタリア素材「TRABALDO TOGNA(トラバルドトーニャ)」を、立ったり座ったりが多いパーティーや忘新年会シーンでもノンストレスで、しかもエレガントでスタイリッシュなスーツに仕立てるスタイルです。
トラバルドトーニャは、歴史あるイタリアの服地メーカーでSuper160‘s以上の原毛を取り扱うので有名です。数あるコレクションの中でウール100%なのに20%以上のストレッチ性をもった世界唯一の生地「ESTORATO(エストラート)」は、十分な艶とハリを兼ねそろえた素材です。
HANABISHIの数ある生地の中でも、毎シーズン品切れが続出する人気素材で、着た瞬間に感動を覚えるようなストレッチが魅力です。しかもトラバルドトーニャ独自の技術で、ポリウレタンなどの化繊を用いることなくウール100%で織られた素材なので、梳毛糸を使用した自然な光沢がスーツスタイルを一層華やかにします。
今シーズンは、パーティーや忘新年会などの集まりだけでなく、ビジネス共用でも着用できる色や柄を含めた17色をチョイスしています。

この光沢感のある素材を、ナチュラルショルダーで身体に吸い付くようなエレガントなイタリアンシルエットで仕立てるのが今シーズンのポイントです。いつもは座ると窮屈感を感じるベストも、ストレッチ素材なら細身でも着心地抜群です。
フォーマルでも用いられるピークドラペルやベルトレス、サスペンダーボタンなどのディテールで、華やかさを増したスーツスタイルを楽しめます。
ビジネス仕様の機能素材とは一味も二味も違う、イタリアのインポート機能素材で、周りとは違う魅力あふれるスーツ姿でパーティーの主役になれるでしょう。

3)ワンランク上のビジネスにおすすめ! “日本が誇る毛織物産地の希少素材で、ワンランク上のビジネススーツを仕立てる“

国内縫製にこだわるHANABISHIがこだわってセレクトしている国産素材「COLCHIS(コルキス)」は、日本が誇る毛織物産地「尾州」で生産されています。Super130’sという毛足の長い原毛を、イタリア素材のように細い糸はせずあえて太目に縒った糸を使い、古い低速織機「ションヘル織機」でゆっくりと織り上げることにより、ハリと重厚感のある生地となります。
色柄もションヘル織機の風合いを生かし、ビジネスシーンで活躍すること間違いない18色をセレクトしました。
このコルキスは、約半世紀以上前のヴィンテージ織機でおられていて扱える職人も数少なく、世界でも希少な素材となっています。糸にストレスを与えず、時間をかけて織りあげられた素材の持ち味を生かすためにも、構築的で直線的なブリティッシュスタイルで仕立てるのがおすすめです。
ハリのある素材は、肩から胸元にかけての男らしいラインを強調し、エレガントなイタリアンシルエットが主流となってきているビジネススーツよりも、キリッとした男らしさで「できる男」を演出してくれることでしょう。

ブリティッシュシルエットというと肩回りを強調しがちですが、今シーズンはあえてトレンドのノーパッド仕立てにすることによりスッキリとした印象となり、ビジネスシーンでの印象も変わります。
今季トレンドのクラシックディテールを加えることなく、生地の持つ風合いと構築的で男らしい胸元のワンランク上のビジネススーツが、オフィスでも会議でも、そして大切な商談やプレゼンでも自分を主役にしてくれます。

今シーズンおすすめのドレスシャツ

スーツを着る際、必ず必要なのがシャツです。最近はカジュアルなセットアップスーツが多くTシャツやニットの上にジャケットを羽織るコーディネートの方が増えましたが、ビジネスでもパーティーでもスーツの下にはシャツが基本です。スーツの下に着用してほしいのは、ドレスシャツという、日本ではワイシャツと呼ばれている前開きで襟・ボタン・カフスの付いたシャツの総称です。
もともとシャツは下着でした。ヨーロッパでは、1930年代にブリーフやトランクスなどの下着ができるまでは、裾の長いシャツで股間を覆っていました。そのため、現在においてもドレスシャツは両脇が短く、前と後ろだけが長くなったラウンドタイプのものが多くなっています。胸のポケットも1930年ごろにイタリアでアウターとして着用されるようになり、その当時の名残だといわれています。20世紀を迎え、ボタンダウンシャツを皮切りに様々な襟型が出来上がり、シャツの多様化が進んできました。

特にシャツは、もともとは下着で身体の一番近くに着るものですから、サイズが重要となります。襟回り、バスト、ウエスト、裄丈、袖回り、着丈など、さまざまな箇所が自分のサイズに合っているのが、一番きれいなシャツの着こなしです。しかし、既製品ではすべてを合わせることは不可能です。
その点オーダーシャツは、サイズを合わせるだけではなく、素材、襟型、ポケットの有り無し、カフス型などのディテールから、ボタンやステッチ、ネームの有無や色まで細かく指示し自分だけの一着を作ることが可能です。意外とオーダースーツよりオーダーシャツの方が病みつきになってしまう方が多くいらっしゃいます。
オフィスや会食など、ジャケットを脱ぐ機会の多い方は、ぜひオーダーシャツを試してみてはいかがでしょう。

そこで今シーズンHANABISHIおすすめのシャツスタイルを紹介したいと思います。

①襟型 セミワイドスプレッド

定番中の定番ですが、数シーズンはノーネクタイのブームもあり水平に近い襟の開きのホリゾンタルカラーが流行となっていました。最近ではクラシックのトレンドからタイドアップする方も増えてきておりますので、セミワイドスプレッドがおすすめです。

ループタブ、ピンホール

この2つは、ボタンやピンを使って襟を絞り込み、その上にネクタイを引き出すスタイルの襟型です。両方とも襟元を引き締める効果があり、ネクタイが立ち上がりクラシックスーツと相性が抜群です。クラシックディテールを盛り込んだスーツのインナーとしておすすめです。

ボタンダウン

今シーズンは、英国クラシックのトレンドのほかに、アメリカ調のスーツ(ジャケット)もトレンドになっています。襟の小さなカジュアルシャツのようなボタンダウンではなく、ネクタイができる少し大きめでロールをしているボタンダウンがおすすめです。

②色、柄

色はクラシックブームの影響で、ドレッシーな白やブルーの無地が一番のおすすめです。そのほかには、定番ですがロンドンストライプ(通称ロンスト)と呼ばれる5mm程度のピッチのストライプや、もっと細いキャンディーストライプもおすすめです。
柄物をピンホールやタブカラーにするなら、クレリックシャツにするのがおすすめです。

③ディテール

シャツのおすすめディテールはダブルカフスです。これもクラシックスーツとの相性が良く、ドレッシーな印象となります。そのほかには、貝ボタンをオプションで追加することをおすすめします。割れやすいといわれがちな貝ボタンですが、見た目がポリエステルのボタンとは全然違います。オーダーシャツをつくるならこだわりたいポイントです。

④生地

秋冬におすすめの生地として、ふっくらとした柔らかさと上品な光沢を兼ねそろえたフレンチツイルがおすすめです。今季おすすめのクラシックスタイルのスーツにはもちろん、ビジネスでも着用できます。上品な光沢があるので、パーティーなどにも着用いただける素材となっています。
HANABISHIでも無地やヘリンボーンなど取り揃えています。

小物へのこだわりひとつで、コーディネートは大きく変わる

スーツスタイルに欠かせない小物にネクタイが上げられます。HANABISHIがオリジナルネクタイを販売しているのはご存知ですか?
HANABISHIのオリジナルネクタイは、イタリアのコモというネクタイ生地の世界最大の産地の生地を仕様し、国内の工場で縫製されています。毎シーズン、1,000色近い生地見本の中から、トレンドだけではなくお客様のコーディネートしやすい柄を中心に品揃えしています。
今シーズンは、クラシックなスーツに合わせやすい小紋や幾何学、アメリカンテイストなレジメンタルなど、ビジネスからフォーマルまでコーディネートできるコレクションになっています。
そして、忘れてはいけない小物は、ポケットチーフです。結婚式やパーティーはもちろん、ビジネスでもちょっと胸ポケットに差し込むだけでスーツ姿がワンランクアップする小物です。今までは「やりすぎ」と思われがちな小物でしたが、今では通勤電車の中でも見かけるようになりました。TVホールドという挿し方(四角く折り曲げ1cmほど見せる)だけで印象が大きく変わります。今シーズンはワンポイントでぜひ試してみてください。

オーダースーツやシャツには“これ”という決まりはありません。シルエットもサイズ感も、そしてコーディネートも、自分だけのカスタマイズが可能です。しかし、せっかくオーダーするのだから「トレンド」も取り入れたスタイリングを目指すのがいいでしょう。
HANABISHIには、ここではご紹介しきれないほどのカスタマイズのポイントがたくさんあります。ぜひ店舗でフィッターに相談してみてください。あなたらしさの中に、少しトレンドを取り入れたスタイルやコーディネートを紹介してくれるはずです。
秋冬はファッションの楽しめる季節です。自分の着用シーンを想像しながら、自分だけのオーダーをHANABISHIで楽しんでみてはいかがでしょうか?

1935年創業の老舗ブランド「HANABISHI (花菱)」のオーダースーツは、完全国内縫製のイージーオーダーです。さまざまな体型の方に合わせた補正が可能で、熟練したプロフェッショナルフィッターが採寸し、あなたのご要望に合うフィットした1着をご提供いたします。初めてオーダースーツを作る方限定のお得なプランも実施しています。ぜひ、以下のリンクからチェックしてみてください。

西林 和之
Writer
西林 和之
株式会社花菱
2015年HANABISHIに入社。経営企画部を経て、現在はマーケティンググループ長として、販売の企画、コンテンツマーケティング等を担当。
2015年HANABISHIに入社。経営企画部を経て、現在はマーケティンググループ長として、販売の企画、コンテンツマーケティング等を担当。
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