オーダースーツは「パターン・イージー・フル」の3種類!特徴やメリット・デメリットをご紹介 

その他(豆知識)

2022.4.6

「オーダースーツを注文したいけど、オーダー方法がいくつもあって分かりづらい」という方もいるかもしれません。オーダースーツは大きく分けて3種類あり、それぞれにメリット・デメリットがあります。価格帯も異なるため、注文する前に自分に適したオーダー方法が何かをチェックしておくことをおすすめします。

今回は、オーダースーツの種類と、それぞれのメリット・デメリット、価格などをご紹介します。オーダースーツの注文を検討している方は、ぜひご参考にしてください。

そもそも既製品とオーダースーツは何が違う?

考える人

オーダースーツについてご説明する前に、まずは既製品のスーツとオーダースーツの違いをご紹介します。 

オーダースーツは受け取りまでに2週間以上の期間を要しますが、既製品のスーツはほとんどが購入後すぐに着用できる状態で販売されています。裾直しをする方は受け取りまでに時間がかかりますが、サイズがちょうど良いならその日に持ち帰っても良いですし、極端な話だとその場で着ていっても問題はありません。また安い価格帯のものから用意されているので、急遽スーツが必要になったときでもすぐに手に入れやすいといえます。 

ただし、自分の体型にぴったりのオーダースーツとは異なり、既製品のスーツは標準的な体型をもとに作られるためサイズが合わないことがあります。例えば、なで肩やいかり肩、猫背などの体型のクセがある方、筋肉量などの違いから上半身と下半身でサイズが異なる方などは、既製品の中から自分に合ったスーツを見つけるのは難しいといえます。 

さらに、既製品のスーツは大量生産で作られるためオリジナリティの面が弱く、選べるデザインに限りがあります。こだわりの強い方だと物足りなさを感じる可能性があるため、そういった方には自分の好みを反映できるオーダースーツがおすすめといえるでしょう。 

オーダースーツを大きく分けると3種類

オーダースーツは仕立ての工程の違いによって「パターンオーダー」「イージーオーダー」「フルオーダー」の3種類に分けられています。「オーダースーツは既製品よりも高い」と思っている方は少なくありませんが、オーダースーツの中には既製品とそう変わらない値段で注文できるものもあります。

オーダースーツの種類は3種類以外にもさまざまな呼び名があり(下記参照)、中には欧米で使用されない和製英語も含まれています。

パターンオーダー

・パターンメイド

・パーソナルオーダー

・サイズオーダー

ス・ミズーラ

メジャーメイド

メイドトゥメジャー

メイドトゥオーダー

 

※上記は両方で使われるケースあり

イージーオーダー

・イージーメイド

・コンピューターオーダー

・ニューオーダー

・セミビスポーク

フルオーダー

・フルビスポーク

・カスタムオーダー

 

店舗によっては差別化のために呼び名を変えていることもありますが、オーダー内容は3種類に分類されるため、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの特徴や仕立てる方法などを覚えておけば問題ありません。ただし、上記の分類は日本だけのものです。海外では定義そのものが異なるケースがあるため注意しましょう。

なお、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの順に上級のオーダー方法となります。

パターンオーダースーツの特徴

パターンオーダーは、ベースとなる既製のサンプルスーツ(ゲージ服・見本)の中から、自分の体型に近いサイズを選んで作るオーダー方法です。すでに型(パターン)が決まっているため、個人の型紙を作ることはありません。あらかじめ体型補正のラインが入ったサンプルスーツを試着し、サイズを微調整しながら合わせていきます。サンプルスーツが多い店舗ほど自分の体型に適した型を見つけられるため、フィット感のあるオーダースーツを作ることができます。なお、パターンオーダースーツは縦のライン(着丈・袖丈・パンツ丈)の補正が可能です。 

メリット

低価格で気軽に注文しやすい、という点がパターンオーダースーツの大きなメリットです。サンプルスーツの試着によって仕上がりイメージが浮かびやすいため、初めてオーダーする方でも失敗する可能性はほとんどありません。また、短期間でできるという点もパターンオーダーの魅力。急いでスーツを作らないといけないという方にもおすすめです。 

デメリット

サンプルスーツのサイズは標準体型に近い作りをしています。そのため、なで肩やいかり肩、猫背のように標準体型とは異なる体型だと合うサンプルがないこともあります。

また、パターンオーダーで対応できるオプションは、ボタンの色・位置の変更、ステッチや袖口の仕様変更など簡単なものだけです。場合によっては追加料金がかかることもあります。細部までこだわってスーツを仕立てたい方には不向きでしょう。

価格

パターンオーダースーツにかかる平均価格は【2万円〜7万円ほど】です。既製品のスーツと同じような価格帯で注文できるため、プレゼントにもおすすめです。お子さんの成人祝いや新社会人祝いはもちろん、パートナーの誕生日プレゼントにも、一風変わったオーダースーツはぴったりの品ではないでしょうか。自分用にスーツがほしい方、特別感のある贈り物をお探しの方は、ぜひ検討してみてくださいね。 

なお、納期は2〜3週間ほどです。

イージーオーダースーツの特徴

イージーオーダーは、パターンオーダーとフルオーダーの良いところを組み合わせたオーダー方法です。パターンオーダーと同じく、個人の型紙を一から作ることはなく、サンプルスーツでサイズ調整を行います。ベースとなる型紙のデータと採寸データを照らし合わせて、より自分の体型に近い型紙データを選び、さらに体型補正やデザイン補正を加えて修正した壁紙を使用するため、パターンオーダーよりも細かく自分の体型に合わせてスーツを仕立てられます。 

型紙に手を入れる際、もとのシルエットと修正箇所のバランスがおかしくならないようにグレーディング(再調整)を行うことが可能です。グレーディングを行うことで補正箇所の違和感がなくなり、スーツの仕上がりや着心地が格段に良くなります。ベースの型紙の中にはグレーディングに対応できないものもありますが、その際は手作業で型紙の補完を行います。このグレーディングこそが、パターンオーダーとの大きな違いです。 

なお、イージーオーダースーツは縦の補正はもちろん、横の補正(肩部分など)もできるので、より自分の体型にフィットしたスーツを作ることが可能です。 

メリット

イージーオーダーは型紙の補正を行いながらスーツを作るため、ある程度の体型補正が可能です。なで肩やいかり肩、肩幅が広い、胸板が厚いなど、体型にコンプレックスなどを抱えている方にもおすすめです。

またカスタマイズ性にも優れており、自分好みのオリジナルスーツが作れるため、ある程度はこだわりたいという方も満足できるでしょう。

デメリット

体型補正はできますが、型紙の原型の基準を逸脱した特殊な補正だと対応できないことがあります。対応できるか否かは店舗によって異なるため、要望があれば店舗スタッフに相談しましょう。

価格

イージーオーダースーツにかかる平均価格は【4万円〜20万円】です。自分のこだわりを反映できるためパターンオーダーよりは高いですが、オーダー内容に不満がないなら、フルオーダーのような満足感を低価格で得られることになります。 

なお、納期は3週間〜4週間ほどです。

フルオーダースーツの特徴

フルオーダーには「ハンドメイドフルオーダー」と「マシンメイドフルオーダー」があります。前者は個人の型紙を作り、昔ながらの手法で仕立てるやり方で、「ビスポーク」とも呼ばれています。一方、後者は採寸は熟練の技術を持つフィッターが行いますが、型紙データの作成や生地の裁断などの単純作業は機械を使って効率良く行います。 

フルオーダーは3つのオーダー方法の中で一番作業工程が多く、制作期間が長いですが、その分自分の望む形のオーダースーツを仕立てることができます。 

フルオーダーでは複数の工程を専門の職人が各々担当し、手作業でスーツを仕上げます。肩幅や腕の長さなど体のパーツを採寸し、型紙を起こして生地を裁断し、仮縫いまでしてから試着を行います。試着では着心地を確かめながら、さらに細かくサイズ調整を行い、体型補正が終わったら本縫いに入ります。作業に手間がかかる分、値段は高めです。 

メリット

自分の体にジャストフィットしたスーツを作れる、という点がフルオーダーのメリットです。採寸後に型紙を起こすため、左右で体のバランスやサイズが違っても、それらを考慮した上で自分にぴったりのスーツを仕立てることが可能です。また、仮縫い段階で試着があるので、完成まで納得できるまで修正できます。

リピーターになればその都度、型紙補正をしてもらえるため、完成後もサイズ調整を行いながら長く愛用できます。

デメリット

作業工程が多いフルオーダーは、完成までに1か月以上もかかります。また、採寸や仮縫い、試着、受け取り(※)などで店舗に何度も足を運ばなくてはならないため、仕事などで忙しいとなかなか時間が取りづらいでしょう。

この他、フルオーダーの技術を持った職人が少ないこと、依頼できる店舗も限られることから気軽に注文できないというデメリットもあります。

価格

フルオーダースーツにかかる平均価格は【20万円〜100万円以上】です。生地やオプションなどでいくらでもオリジナル性を追求できるため、基本的に上限はありません。

なお、納期は1か月〜2か月程度です。

マシンメイドとハンドメイドは何が違う?

スーツ縫製

こちらでは、マシンメイドとハンドメイドの違いについて解説します。 

マシンメイド

マシンメイドとは、ミシンを使って縫い上げる「機械縫製」のことです。布を寝かせて平面にした状態で作業を行うため、表も裏も同じ寸法で縫われます。均一でほつれのない縫い目は機械縫製ならではです。 

マシンメイドはハンドメイドに比べるとコストが低く、納期が短いのが特徴です。裏地、ボタン、芯地、パッドなどの副資材の他、縫製の仕様のランクによって価格帯が幅広いので、コストを抑えたい方、少しでも自分のこだわりを反映させたい方にはおすすめといえるでしょう。 

ハンドメイド

ハンドメイドは、仕立ての要となる重要な部分を手縫いで仕上げる方法を指します。縫製も含めて全ての工程を手作業で行うものを「フルハンドメイド」といい、その中でも1人で全ての生地を縫い上げる仕立てを「丸縫い」と呼びます。ハンドメイドの中で丸縫いが最も時間や費用のコストがかかります。 

平面で縫うマシンメイドとは異なり、ハンドメイドは内外に寸法差を作ったり、アイロンでクセ取りをした後に生地を曲げたりと曲面にして縫うため、仕上がりが丸くなります。人の体のラインに合った方法で縫い合わせるため、より体にフィットするのです。 

ただ、ハンドメイドで仕立てた服をハンガーにかけたとき、ピシッときれいに見えるのはマシンメイドのほうです。平面で仕上げるマシンメイドとは異なり、ハンドメイドはお客さまが着用したときに最もすてきに見えるよう計算して作られています。お客さまの体型によっては肩パッドの厚みが左右で違うということもあるため、単純にハンガーなどで吊った状態は美しい姿を見せる一歩手前、未完成の状態といえるのです。 

手間も時間もかかるハンドメイドですが、その分、着心地などのこだわりを追求できます。費用がかかっても自分だけの1着がほしいという方にはハンドメイドで仕立てるオーダースーツがおすすめです。 

オーダースーツはこんな人におすすめ!

スーツお仕立て

オーダースーツは全ての方におすすめなのですが、下記にあてはまる方にはとくにおすすめです。自分はもちろん家族や友人、恋人などにあてはまるかどうかを考えながら読んでみてくださいね。 

既製品だとサイズがない人

すてきだなと思うスーツを見つけても、試着すると何かしっくりこない、サイズが合わないということはありませんか? 

先でも述べたように、既製品のスーツは標準的な体型をベースに作られるため、体のどこか1か所でも標準から外れたら着心地が悪くなってしまいます。既製品のスーツでもサイズ調整はできますが、裾直しはできても袖丈はできないなど、どうしても限界があります。腕は入ったけど肩周りがきつい、着丈はぴったりなのに袖丈が短いなど、既製品だとサイズがない人はオーダースーツがおすすめです。 

なお、オーダースーツがおすすめの人には下記が挙げられます。 

高身長の人 既製品のスーツだと袖丈が短くなることが多い。
低身長の人 着丈も袖丈も長くなることが多い。
水泳体型の人 肩幅が広いため、肩周りにサイズを合わせるとウエスト部分が大きくなり、ダボついた印象になる。
サッカー体型の人 ウエストは細いが太ももが太くなるため、どちらかに合わせるとサイズが合わずにシルエットが崩れる。
野球体型の人 ウエストは細いが肩周りと太ももが大きくなるため、どちらかに合わせるとサイズが合わずにシルエットが崩れる。
鳩胸の人 胸に厚みがあり、ウエストが細いため、ジャケットの胸部分が開いてしまう。
なで肩の人 肩が下がるため、スーツのシルエットが崩れてしまいやすい。肩パッドを調整する必要がある。
いかり肩の人 肩が上がるため、背中にしわができやすい。スーツのシルエットが崩れないように、ギリギリまで肩パッドを薄くする必要がある。
お腹がぽっこりしている人 ウエストに合わせると肩周りや太ももがゆるくなり、だらしない印象になる。
左右の腕・足の長さが違う人 サイズが合わないため袖や裾の細かい調整が必要。利き腕が長くなる傾向にあり、スポーツをしている方も左右で長さが異なることがある。
身長と腕の長さのバランスが悪い人 身長の割に腕が短いまたは長いという方は、袖丈が合わないケースがある 。

理想のスーツがほしい人

「細身で動きやすいスーツがほしい」「好きな色柄の生地に、ボタンもカスタマイズしたい」など、自分が想像する理想のスーツがある人にもオーダースーツはおすすめです。 

オーダースーツはオリジナリティを追求できるので、要望を反映したスーツを仕立てられます。もちろんオーダー方法や予算によって叶えられる範囲は変わるため、まずは相談に行ってみましょう。 

まとめ

オーダースーツの種類をご紹介しましたが、気になるオーダー方法はありましたか?

どのオーダー方法も魅力ですが、とくにイージーオーダーは初心者の方はもちろん、オーダースーツを何度か依頼しているという方にもご満足いただけるはずです。体型補正の自由がある程度きくこと、また高い品質のスーツを良心的な価格で注文できる点が、大きな魅力といえるでしょう。

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西林 和之
Writer
西林 和之
株式会社花菱
2015年HANABISHIに入社。経営企画部を経て、現在はマーケティンググループ長として、販売の企画、コンテンツマーケティング等を担当。
2015年HANABISHIに入社。経営企画部を経て、現在はマーケティンググループ長として、販売の企画、コンテンツマーケティング等を担当。
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