スーツの種類はどのくらいある?着用シーンに合わせた着こなし方やデザインついて解説

その他(豆知識)

2022.5.28

スーツの種類について、「あまり詳しくない」「よく見る定番のものしかわからない」という方も少なくないでしょう。詳しくなくても、仕事や冠婚葬祭で着用するために1着は持っているのがスーツです。ふだん何気なく着ているスーツの種類について知れば、スーツ選びや、スーツの着こなしをより楽しめるはずです。

そこで今回は、スーツの種類やデザイン、着用シーンにふさわしいスーツの特徴、礼服とスーツの違いについてご紹介します。

スーツの種類は大きく分けて2つ

スーツの種類は、「形状」と「構成」によって大きく2つに分けられます。

「シングル」と「ダブル」

シングル(シングルブレスト)とダブル(ダブルブレスト)のスーツでは、スーツの形状と着用したときのシルエットが異なります。最も大きな違いは「ボタンの数と並び」です。

シングル

シングルスーツは、ジャケットの前ボタンの配列が縦1列になったスーツです。一般的なボタンの数は2〜3つで、現在のスーツの主流となっているため、ふだんから街で見かけるスーツのほとんどはシングルスーツでしょう。

シングルの2つボタンはVゾーンが広く、ウエストラインが細く見えるため、全体的に細身のシルエットになります。

3つボタンには、上2つのボタンを留める「3ボタン2掛け」と、真ん中のボタンだけを留める「3ボタン段返り」があります。前者はVゾーンが狭くなり、ウエストにくびれができないためクラシックな印象になります。一方後者は、一番上のボタンがラペル(襟)の裏にあり、胸元が立体的に見えます。Vゾーンは狭いのですが、一見すると2ボタンに見えるので、スマートな印象になります。

ダブル

ダブルのスーツは、ジャケットの前ボタンの配列が縦2列になったスーツです。前部分が折り重なることで重厚感のある大人の雰囲気を演出します。また、どちらかというと体格の良い方に似合います。ボタンの数は「4つボタン2掛け」「6つボタン2掛け」など、さまざまなパターンがあります。フォーマルかつ華やかな印象が強いため、ビジネスで着用する方はあまりいませんが、ビジネスシーンでも着用は可能です。

「2ピース」と「3ピース」

2ピースと3ピースではスーツの構成に違いがあるため、着用したときの雰囲気が異なります。それぞれの着用マナーにも違いがあるため、きちんと覚えておきましょう。

2ピース

2ピースとは、ジャケットとスラックスの2つで構成されたスーツです。一般的なスーツスタイルを思い浮かべると相違ないでしょう。先で述べたように、シングルかダブルかによってボタンの数や並びなどが異なります。

3ピース

3ピースとは、ジャケット・スラックス・ベストの3つで構成されたスーツです。日本では「三つ揃え」とも呼ばれており、ジャケット・スラックス・ベストは同じ生地で作るのが基本です(背面や裏地は除く)。

3ピースはフォーマルな印象が強く、パーティーシーンなどで着用する方が多いです。また、ジャケットを脱いでカジュアルな着こなしを楽しむ方も珍しくありません。この他、ベストを脱いで2ピースで着用することも可能なので、ビジネスシーンにもおすすめです。

なお、3ピースの場合、「ジャケットのボタンは留めない」「ベストは1番下のボタン以外は全て留める」のが基本です。

合わせて知っておきたい!スーツのデザインについて

スーツデザインにおける重要な要素が、「ベント」「ラペル」「柄」「ポケット」です。それぞれの特徴を下記にて解説します。

ベント(裾の切れ込み)

ベントは、ジャケットの後ろの裾に入ったスリットのことです。スリットの入る位置によって呼び名や特徴が異なります。

センターベント

裾の中央に1本スリットが入ったものを「センターベント」と呼びます。動きやすさを意識して作られているため、センターベントのスーツはデイリー使いにも向いています。

サイドベンツ

裾の両サイドに1本ずつスリットが入ったものを「サイドベンツ」と呼びます。センターベントよりもゆとりがあるため、ヒップラインが目立ちません。

ノーベント

スリットが入っていないものを「ノーベント」と呼びます。主に、冠婚葬祭などに着用する礼服(フォーマルスーツ)に多くみられます。

ラペル(下襟)

代表的なラペルは「ノッチドラペル」「ピークドラペル」「セミピークドラペル」の3つです。

ノッチドラペル

ノッチドラペルは、最もスタンダードなデザイン。普通襟とも呼ばれており、カラー(上襟)とラペルの合わせに直線的なV字の切り込みが入っています。シングルのスーツに多く、すっきりとした誠実な印象を与えます。

ピークドラペル

ピークドラペルはラペルの先端が上向きになったデザインで、剣衿(けんえり)とも呼ばれています。もとはタキシードなどのフォーマルなスーツに使われていたため、華やかで都会的な雰囲気を纏います。現在、ピークドラペルはダブルのスーツに多くみられます。

セミピークドラペル

セミピークドラペルは、下襟の角度を水平にし、ピークドラペルよりも先端の尖りを軽減したものを指します。フォーマル感を残しつつも、ソフトな印象です。ビジネスシーンにも、結婚式などのフォーマルシーンにもおすすめです。

スーツの柄は、着用した際の印象に大きく影響します。試着などを行い、自分に合うもの、理想とする姿に近づけるものを選びましょう。

無地

無地のスーツは、全体が1色でまとめられているので見た目がシンプルですが、落ち着きのある雰囲気とストイックな印象を与えます。

また、同じ色でも濃淡の違いによってイメージが変わり、例えば明るくて青みの強いネイビーは爽やかで若々しい印象になりますが、ダークネイビーやグレーネイビーのように濃い色のネイビーは重厚感のある大人の装いに仕上がります。

試着をしたり、フィッターに相談したりしながら、自分に似合う色を選んでみましょう。

ストライプ

ストライプはラインの幅や間隔、ラインの色の濃さなどで印象が異なります。

例えば、ストライプのライン幅が狭いスーツは、誠実で若々しい印象を与えます。フレッシュで爽やかなイメージは、新入社員や20代のビジネスパーソンにぴったりです。また、線が細いストライプは繊細で美しく、品の良さが感じられるため、「スーツにあまり詳しくない」「何を選べば良いかわからない」という方にもおすすめです。

一方、ライン幅が太いストライプは、力強く華やかな印象を与えます。見る人に「頼りになり信頼できる」というイメージを抱かせやすいので、30〜40代の役職についた方や、プロジェクトを動かす中堅クラスのビジネスパーソンにおすすめです。

なお、ストライプにはチョークやピン、オルタネートなどの種類があります。ストライプのスーツをお探しの方は、ぜひ種類ごとの特徴もチェックしてみてください。

チェック

チェックはカジュアルさが際立つ柄ですが、こちらも種類によって雰囲気が異なります。

例えば、シャドーチェックは一見無地に見えるため、チェック柄のなかでは派手さがありません。上品で洗練された印象を与えるため、ビジネスシーンにも向いています。

また、細めの千鳥格子とヘアラインストライプが組み合わさったグレンチェックは、遠目で見ると単一の色に見えますが、近くで見ると柄が見えます。上品で個性があるコーディネートを楽しめるので、大人の遊び心を演出できます。

このように、チェックの種類はさまざまなので、好ましいと感じる柄を選んでみてください。

ポケット

スタンダードな「フラップポケット」、斜めに配置された「スラントポケット」、脇ポケットの上に配置された「チェンジポケット」、フラップ(蓋)がない「ノーフラップポケット」など、ポケットにも種類があります。

ポケットの形状で見た目の印象は変わり、例えば、スラントポケットは斜めにラインが入っているので腰回りをスッキリ見せることができます。無地などのシンプルなスーツに合わせるとアクセントになるため、スマートなシルエットを好む方に向いています。

また、チェンジポケットは英国の伝統的なチェック柄と相性が良く、スタイリッシュでおしゃれな雰囲気を好む方におすすめです。

このように、ポケット一つで印象が変わるため、スーツ選びの際はポケットの種類も確認しましょう。

着用シーンに合わせて正しくスーツを着用しよう

スーツには、種類に応じて適した着用シーンがあります。ビジネス、結婚式、お葬式の3つのシーンで選ぶべきスーツをご紹介するので、ぜひご参考にしてください。

ビジネスシーン

ビジネスシーンでは、シンプルで主張の少ないビジネススーツを着用しましょう。

形状は「シングル」、構成は「2ピース」、柄は「無地またはストライプ」、色は「グレーまたはネイビー」だと、控えめながら誠実な印象を与えられます。

なお、ストライプを選ぶ際は、ラインが細いものがおすすめです。

結婚式

結婚式の正装は、ブラックスーツやダークスーツです。シャツは白で、カラー(上襟)の種類はレギュラーカラーかワイドカラーを選びましょう。ブラックスーツならネクタイはシルバーが基本ですが、ダークスーツの場合は派手すぎない色なら好きなものをチョイスしても問題ありません。

なお、30代までの若い層ならシングルスーツが、40代以上ならダブルのスーツがおすすめです。二次会から参加する場合は、カジュアルなスーツを着用してもマナー違反にはなりません。

お葬式

お葬式では「喪服」を着用しましょう。シングルとダブル、どちらのスーツも着用可能です。シャツは白で良いですが、ネクタイは黒無地で光沢がないものを選びます。同様に靴下や靴、ベルトなどもシンプルな黒で統一しましょう。

礼服とスーツの違い

着用シーンが限定されていないスーツに対して、礼服は冠婚葬祭で着る正装です。礼服とスーツでは黒色の濃さが違っており、礼服のほうが深くて濃い黒色をしています。礼服と並ぶとビジネススーツの黒が薄く感じてしまうため、お葬式などに参列する際はきちんと礼服を着るようにしましょう。

まとめ

スーツと一口に言っても種類はさまざまです。着用シーンに適したスーツを選ばなくては、実際にスーツを着たとき、ちぐはぐな印象になってしまいかねません。スーツの種類やデザインの要素を押さえて、自分にぴったりの1着を探してみてください。

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西林 和之
Writer
西林 和之
株式会社花菱
2015年HANABISHIに入社。経営企画部を経て、現在はマーケティンググループ長として、販売の企画、コンテンツマーケティング等を担当。
2015年HANABISHIに入社。経営企画部を経て、現在はマーケティンググループ長として、販売の企画、コンテンツマーケティング等を担当。
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