ビジネススーツの裾はシングルとダブルどっちがいい?適切な幅や長さも解説
その他(豆知識)
2022.12.26
目次
スラックスの裾上げの際、「シングルとダブルのどちらにしますか?」と聞かれることだと思います。どちらかを選ぶだけなので人によっては答えやすい質問かもしれませんが、中には「そこまでこだわりはない」「そもそも何がどう違うのか知らない」「どっちが流行なのか分からない」などの理由から即答できずに困っているという方もいるのではないでしょうか。
スーツスタイルでもジャケパンスタイルでも、裾上げをする機会は多いものです。今後も役立つ知識として、ぜひシングルとダブルの違いを覚えておきましょう。
今回は、裾上げのシングル・ダブルの違いを主軸に、ビジネススーツではどちらを選ぶのが良いのか、ダブルの魅力や裾上げ時のポイントなどをご紹介します。ぜひ、双方の特徴を知り、自分にぴったりの裾の仕様を選んでみてください。
裾上げの「シングル」と「ダブル」の違い
「シングル」はスラックスの裾を折らない仕様で、「ダブル」は折る仕様です。シングルは足元のシルエットがすっきりするため、軽やかで都会的な印象を与えます。対して、ダブルはクラシカルな雰囲気があり、重厚感を漂わせます。
シングル・ダブルという呼称は和製英語で、正しい英語の名称は前者が「plain bottoms」、後者が「cuffed bottoms」あるいは「turn up」となります。仕事や旅行などで海外に行った際、スーツの購入を検討している方は、覚えておくと良いでしょう。
ビジネススーツの裾上げはシングルでもダブルでも問題ない?
結論からいうと、ビジネススーツの裾上げはどちらを選んでも問題ありません。
日本におけるビジネススーツの裾上げは“シングルが主流”ですが、欧米では流行など関係なく裾上げは“ダブルが主流”です。あくまでも主流というだけなので、シングルでなければダメというわけではありません。見栄えなど自分の好みに応じて、ピンときたものを選択して良いのです。
裾上げの歴史をみると、もともとのスラックスの裾上げはシングルだけだったといいます。しかし19世紀末、英国貴族が雨や泥の汚れを防ぐために裾を折ったことから、ダブルが生まれたという説があるそうです。ダブルは屋外での活動をベースに生まれたものなので、シングルの裾上げよりもカジュアル感が強いと考える方もいます。
また、燕尾服やモーニング、タキシードといった正礼装のスラックスに折り返しがないことも、「シングル=フォーマル、ダブル=カジュアル」と認識をさせてしまう要因かもしれません。
しかし、ビジネススーツは略礼装であり、正装よりもカジュアルな位置づけです。そもそも、営業職の方からするとビジネススーツはアクティブな服とも捉えられるため、ビジネススーツがダブルでも何も問題はないといえるでしょう。
なお、裾上げの仕様には、裾の前が短くて後ろが長めの「モーニングカット」もあります。靴の甲にできる裾のたるみがなくなるため、シルエットがきれいです。シングルよりもフォーマルではありますが、ビジネススーツの裾上げに用いられることもあります。
ダブルの裾上げが魅力的な理由
先でも述べたように、日本ではシングルの裾上げが主流なので、急にダブルにするのは慣れないという方もいるでしょう。しかし、シングルと同様にダブルにも魅力があるため、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。
こちらでは、欧米で主流となっているダブルの裾上げの魅力をご紹介します。
足元の統一感が増すため
ダブルは裾を折り返すため、くるぶしのあたりにボリューム感が出ます。どのような革靴やシューズともバランスが取りやすいため、足元の統一感が増すのです。
クラシカルな雰囲気を強調できるため
ダブルの裾上げは、クラシカルな雰囲気を強くアピールできます。近年はクラシカル回帰により、スリーピーススーツやダブルスーツなど英国調のスタイルに注目が集まっています。厳格で堅実な英国調のスーツスタイルには、重厚感のあるダブルの裾上げが合うのです。
スーツの流行りとダブルの相性が良いため
現在のスーツの流行りは、細身で裾丈が短めの細身スタイルです。ダブルの裾上げは、裾の長さが短いほうが見栄え的にきれいなので、必然的にダブルの需要が高まる結果となっています。
また、ダブルの裾はオフィスカジュアルとも相性が良いです。ジャケパンスタイルにもすっとなじむため、オフィスカジュアルがOKの職場で働いている方にも好まれやすいといえます。
ダブルの裾上げを仕立てる際のポイント
ダブルの裾上げを行う際は、下記のポイントに留意しましょう。
折り返しの幅は身長に合わせる
ダブルは裾を折り返す仕様ですが、折り返しの幅(太さ)がバランスを左右するため注意が必要です。一般的に裾の折り返し幅は「3.5cm〜4.5cm」ほどですが、背の高い人だともう少し幅を太めにしないとバランスが悪くなります。同様に、背が低い人も幅を細めにするなどの調整が必要です。
折り返しの幅にはトレンドがあり、近年では「4.5cm〜5.5cm」と太めの幅が人気です。しかし、折り返しの裾の幅によって適切な裾丈は変わり、太めにしすぎると全体のバランスが崩れてスーツのシルエットが乱れてしまいます。
流行に流されすぎず、自分の身長や足の長さなどを考慮した上で、裾の折り返しの幅を決めるようにしましょう。鏡を見ながら、調整するのも忘れないようにしてください。
折り返し部分の固定方法は自分に合った方法で
ダブルの折り返しの部分は「かぶら」といい、基本的にホックか糸で固定します。
ホックで固定する方法は、ごみやホコリを掃除しやすくするために日本で広がったやり方です。掃除はしやすいですが、上から見たときにホックが見えてしまうため、「品格が損なわれてしまう」「不恰好な印象になる」というマイナスの印象を抱く方もいます。
糸で固定する方法は、世界的な共通の基準です。どこから見てもスマートな裾を維持したい方は、かぶらを糸で固定する仕立て方を選びましょう。
裾上げは「スーツを購入したお店」「裾のお直し専門のお店」「裾上げのオプションがあるクリーニング店」などで依頼できます。基本的に購入店の場合は当日のみの受付になりますが、店舗によっては後日でも請け負ってもらえるため相談してみてください。
お直し専門店やクリーニング店は、いつでも対応してもらえます。購入店舗へ行けないという方は、自宅から近いお直し専門店やクリーニング店に持ち込んでみてはいかがでしょうか。
なお、裾上げは自分で行うことも可能です。ただ、慣れていないと時間がかかったり、仕上がりが乱れたり、生地を傷めたりすることもあります。不安があるようなら、上記のお店に相談することをおすすめします。
まとめ
ビジネススーツの裾上げ仕様にルールはありません。シングルでもダブルでも好きなほうを選んで良いので、裾上げ後のスーツの見栄えなども踏まえた上で、自分の好みにぴったりの方法を選択してみてください。スーツのスタイルに合わせて裾上げの仕様を変えるのも良いでしょう。シングルとダブルのどちらも持っていれば、その日の気分や仕事の内容に合わせてスーツを選ぶ楽しみもできます。
次にスーツを購入する際は、ぜひ即答で好きな裾上げ仕様を答えてみてくださいね。
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